デザート 祐一×珠紀

「せ、先輩…ここではちょっと…」
「ん?」

えーと。今は昼休みなわけで。
屋上にはいつもの通り拓磨や真弘先輩や慎司君もいるんですが。
先程まで普通に並んでお弁当を食べていたのに
なぜか祐一先輩が私に覆いかぶさっているんです。

「デザートだ。」
「そ、そういうのは別の機会に…」

先輩。
先輩は皆に背を向けているから気付かないのかもしれませんが…

拓磨や慎司君は真っ赤になりながら目を逸らしてくれてるんですが。
真っ赤になりながらもこちらを注視している人が約一名いるんですけど!!

暫しの膠着状態の後。

「…仕方ないな。」
祐一先輩が構えを解き、並んで座る。
私はホッと胸をなでおろす。

「なんだよー!もう続きはやらないのかよー!!」
何時の間にかすっごい近くに移動して覗き込んでるし。
小学生ですか、あなたは?

「なんだ。真弘もして欲しかったのか?」
すっくと立ち上がると、祐一先輩の指が真弘先輩の顎を捕らえる。

「真弘。こういう時は目を瞑っているもんだ。」
祐一先輩が真弘先輩の耳元で囁く。

「ばッ、ばかやろー!!!」
バーカ、バーカ、おまえのかあちゃんでべそー…とか叫びながら、真弘先輩は走り去って行く。

「真弘は小さい頃から変わらないな。からかい甲斐がある。」
隣で祐一先輩が呟く。

私はあっけに取られて祐一先輩の顔を見ていると。

…デザートいただかれちゃいました。



2006.07.28