◆六章二日目(番外編3)拓磨編◆

拓磨、お待たせ。
ああ…どうした?
ん…ちょっとシャワー浴びてて…
そ、そっか…
あの…じゃ、どうしよっか?
じゃ、ちょっと歩くか?
あ…歩くの?
嫌か?
んー。あんまり歩きたくないかな?
そ…そうか…
神社の裏くらいなら…
ああ。それでいい。

歩き始めると拓磨に手をとられた。

あの…手…
嫌か?
嫌じゃないけど…

拓磨の手に力が入る。
そのまま私達は黙って神社の裏手まで歩いた。

そして。突然立ち止まった拓磨の腕の中に私はいた。

少しだけ…このままで。
ん。
珠紀、おまえ嫌じゃないか?
何が?
俺と…その…こんなことするの…
嫌じゃないよ。
そ、そっか。

思い返してみると、拓磨は前の打ち合わせの時の話しに入ってこなかった。もしかして…気にしてた?

拓磨、目を瞑って。ちょっとだけ屈んで?
え?ああ…これでいいか?

素直に従う拓磨にそっと唇を合わせる。
拓磨の体は緊張したように固くなる。
背中に手を回し『大丈夫だから』と伝わるように擦る。
そっと、そっと…

気付くと手にサラリとしたものが触れ、静かに瞼を開く。

な!なんで髪の毛まで伸びるの!!
おい!突っ込むのはそこか!?



2006.08.21