◆序章(1)◆

バスを乗り継いでやっと村の入り口に到着した。
ここからはお迎えの人が来るはずだけど…
「遅い」
バスの到着から既に15分経過している。
ここからの道がわからないでもない、まだ明るいし、荷物も軽い。
歩いている途中で迎えの人とも会うかもしれない…と、私は歩き出した。

バチッ

鋭い痛みが全身を襲う。
透明なバリアの様なものが私の侵入を拒んでいるようだ。

バチバチッ

一瞬の痛みを我慢して内部に侵入する。
「歓迎されていないのかしら?」呟いてみる。

突然、両親の海外赴任が決まった。
私も当然海外についていくものだと思っていたのだが、なぜか祖母の元に身を寄せることになった。
両親とも忙しく、殆ど一人で暮らしていたようなものだった。
海外に連れて行ってくれないのならば、今まで通りの生活をしたいと両親に訴えてみたが
無駄だった。
理由もなく、駄目の一点張りだった。
しかたない…とりあえず祖母の元に行き、様子をみて帰ればよい。
両親は既に海外に行っているので騒いでみても後の祭りだ。
そんな事を考えながら歩いている時だった。



2006.07.25