◆一章三日目(4)◆

「…怪我はないか?」

声を掛けられるまで私は必死で走り続けていた。

「ゆッ…はッ…たッ…」
足を止めると膝から下に力が入らない。

「おい」
「大丈夫ですか」
両脇から拓磨と大蛇さんに支えられ、荒い息のまま頷く。

「あ…れ…は?」

「大丈夫ですよ。」
「ああ。俺達がサクッと倒しといた。」
今度は二人が頷く。

「よ…かた…」

「だー!なんで一人で出歩くんだよ」
真弘先輩が怒鳴る。

「こ…今度から…」

「わーかればいいんだよ!今度から気をつけますかぁ?」

「ラ、ランニング…も頑張る。」
そう言うとやっと笑えた。



2006.07.27