◆二章一日目(1)◆ |
目覚ましが鳴る前に目が覚めた。 随分眠っていたような気がする。 昨日はあれから拓磨と大蛇さんに引き摺られるようにして、なんとかここまで辿り着くと 美鶴ちゃんに伝言を残すと一瞬で眠りに落ちた。 「ニー?」 枕元からオサキ狐が心配そうに見つめていた。 「もうすっかり元気になったよ。 君も有難うね。」 そういって頭を撫でると、褒められたことがわかるのか嬉しそうに布団の周りを走り出した。 「こらこら。まだ朝早いんだから静かにね。」 小さな声で叱ると、今度はご機嫌をとる様に擦り寄ってきた。 「んもー!!可愛いなぁ」 オサキ狐を肩の上に乗せ、手早く布団を片付ける。 簡単に身支度を整えると自分が空腹だということに気づいた。 「御飯にしよっか?」 肩の上のオサキ狐に話しかけ、足早に台所へと向かう。 美鶴ちゃんはまだ来ていない。 「今日はスコーンにしよう」 スコーンとフルーツとヨーグルトにコーヒー。 お昼はスコーンとサラダとオムレツにすれば良い。 メニューが決まったので早速調理開始。 くるくると台所を動き回る私の足元ではオサキ狐が走り回る。 「尻尾踏んじゃうぞー」 「ニー!」 「そういえば君にも名前をつけたほうが呼びやすいね。」 調理の手は止めずに話しかける。 「うーん。オサキ狐だからお咲?」 「あれ?オトコノコだったらどうしよう…」 「ユニセックスな名前、狐だからコーン?」 「ニー??」 「え?気に入らない?そう…」 「じゃあ。ニー」 「キッ」 「これも駄目?んー。おーちゃん?」 「ニー」 ようやくOKが出たようだ。 朝食を済ませ、入浴して、時間まで調べものをして… 玄関を出たところで守護者の一団と出くわした。 |
2006.07.28 |