◆二章一日目(2)◆

「皆さん、おはようございます。
 昨日は有難う御座いました。」
一同の不機嫌そうな顔を前に一気に言う。

「おまえなー!!昨日の今日で、どうして一人で出歩けるんだぁ?」

「珠紀。おまえは狙われているんだ。
 鬼斬丸の影響を受けて一部のカミ達はおまえの力を求めている。」

「ああ。そうだ。
 日中はそれほど危険じゃないが、なるべく俺達と一緒にいろ。」

心配されているのはわかるのだけど。
小学生じゃあるまいし、こう集団でゾロゾロと…
村に到着した日に一緒に歩いていたというだけで『同棲』扱いされてるんですよ?
なんか女王様気取り?とか思われたりしないかなぁ…

「あの。お迎えは有難いのですが。皆さんでお迎えされなくとも…」

「何?やっぱり俺と二人っきりがいいのか?」
「えー…真弘先輩でなくても…」
「三人の中から選んで欲しい。」
祐一先輩の言葉に拓磨も頷く。

「じゃあ。朝一番早く迎えに来てくれた人と…」
「それでは真弘や拓磨が玄関前で寝泊りするぞ。」

「祐一先輩、俺は…」
「祐一、なんだよ一人だけ!」

「…ごめんなさい。今のなかったことにして下さい。皆一緒でいいです。」

「皆一緒でいい?」
拓磨が繰り返す。

「皆一緒がいいです!」
…昨日の牛オバケのカミと対峙した時よりも疲れた。



2006.07.28