◆二章一日目(3)◆

「おはようございます。」
教室を見回して、ホッと一息つく。
よかった。不自然なザワツキはない。

席に着いて隣を見ると、清乃ちゃんがニヤッとした。
ニヤッ?
ニコッではなく?

「で。誰が本命?」

「クラスの予想ではねぇ、男子は殆ど鬼崎君派なの!
 授業の間も珠紀ちゃんに熱視線を送っているんで、頑張れって応援の気持ちがあるのかも!
 女子の間では狐邑先輩派が多いかな!?
 二人が並んでいるのが絵になるから、なんだって!
 でも私は大穴で鴉取先輩もあると思うなー!!」

私は答えに窮して曖昧に微笑むと授業開始のチャイムが鳴った。



2006.07.28