◆三章一日目(1)◆

「た、珠紀様!?気がつかれました?」
「う…ん。美、鶴ちゃん?」

「皆さん!珠紀様が、珠紀様が気づかれました!!」
美鶴ちゃんは、そう言うと目の前から居なくなってしまった。

むくり…起き上がると体に力が入らない。
「わ、ぷッ」
おーちゃんが心配そうに影から出てくる。
「ん。もう平気。」

「珠紀様。皆さん心配されているのですが…入ってもかまいませんか?」
襖の外から遠慮勝ちな美鶴ちゃんの声がかかる。

パジャマだし。寝起きだから髪もボサボサだろうし。なんだか体がベトベトするし。

「ちょ、ちょっと待って!お風呂入ってから…」
「別にそんなの気にしねーぜ。」

「わ、私は気にするの!真弘先輩、お風呂覗かないでくださいね!!
 大蛇さん、慎司君監視お願いします!」
「なーんだよ、その扱いの差はッ。」

「信頼の差ですかね、真弘先輩?」
「そう言う拓磨も真弘先輩にそそのかされちゃ駄目だからね!」





入浴を済ませ、身支度を整え居間へと向かう。

「お待たせしました。」居間の襖を開ける。

「こ、これは…」と祐一先輩。
「ショック療法になったんですかね。」とは大蛇さん。
「吃驚です。」と慎司君。

「なーんだよ!何が吃驚なんだよ!おい、こら慎司。」
真弘先輩が私の気持ちを代弁してくれる。

お風呂で見た限りでは多少やつれていたが…

「いた、痛いですよー、真弘先輩ってば。」慎司君は真弘先輩に羽交い絞めにされている。
「霊力がかなりあがっています。」大蛇さんが静かに言う。
「え?」
「多分、玉依姫の力が覚醒しつつあるのだろう。」
「本当ですか!?」
「ええ。狐邑君の言う通りでしょう。
 宝具は一つ奪われましたが、これはその対価を払ったことはあったかもしれませんね。」
大蛇さんは目を細める。

そうだ。宝具を奪われたのだ。

あれから3日が経過しており。
その間、ロゴスと名乗った集団に動きはなく。
だが鬼斬丸の影響が強く出てカミに悪影響が出ており、その対応にも追われることになる。
と、大蛇さんから今までの経過を知らされた。

話が終わると、大蛇さんはおばあ様に報告に、
美鶴ちゃんは夕食の支度にと出て行き夕食までは自由行動となった。



2006.08.03