◆三章一日目(2)◆

「なぁ、珠紀。」
私が境内を散歩してと背後から声がかかった。
「なんですか、真弘先輩。」

「ちょっといいか?」
「話…する気になりました?」

「ああ。全部はまだ無理だけどな…」
「でも、いいです。」
真弘先輩は黙ってついて来る。

「子供の頃、ババ様に連れられて蔵の中に入ったことがある。」
私は頷き、先を促す。
「目的はまだ言えない。」
私は溜息をつく。

「でも!おまえが玉依姫として覚醒したかどうかわかる方法があるんだ。」
「どうすれば良いんですか?」

「守護者としての力は口移しにより玉依の力を授かり発現する。」
真弘先輩は切り出した。
「な、なんですか。それ?」

「だーかーらー!それでおまえが覚醒したかどうかわかるっていうこと。」
「えー?」

「血に目覚めた玉依姫との契約…それで守護者が真の守護者になるんだ。」
「でも…口移しって?」

「そ、そりゃ、キスってことだろ。」
真っ赤になって俯いている。


「じゃあ。試してみます。」


たっぷり時間をとってから答える。

「でも真弘先輩とじゃありません。」
「なーんでだよー!!」

「真弘先輩が嘘をついている可能性があるからです。」
「信用しろよ!」

「もし真の守護者にならなくても、私がまだ覚醒していないと言い訳され、
 今後もキスを迫られる可能性があります。」
「おまえなー!」

「だから、まずはじめに別の人で試してみます。」



2006.08.03