◆五章三日目(5)◆

「アイン、ツヴァイ…」
アリアは私達の全面に立ちアイン、ツヴァイと対峙する。

「…おまえ達はドライに操られたままでいるような者ではない。」
ホールの入り口に立つアイン、ツヴァイに向かって階段の上からアリアが静かに説く。

「私はおまえ達を信頼する。私の言葉が届くなら、今一度その役割を思い出せ。」
アリアは語りながら、ゆっくり階段を下りる。
アイン、ツヴァイはこちらの出方を窺っているように動かない。

「アリア・ローゼンブルグの名において命ずる。
 誇りあるロゴスの一員であることを、私の最強の矛と盾であることを
 …私の仲間であることを思い出せ。」

アインがゆっくりと戦闘の構えを解く。

「…目が醒めたのだな、アイン。」
「我が命はおまえに奉げたもの。私は守るべき者を守る。」

「…何の真似だ。」
「ツヴァイ。おまえも誓った筈だ。アリアに魂を奉げると。」

「クッ。元より奉げるべき魂など持ち合わせていない。
 …おまえは俺の敵になるというのだな…面白い。」
「来い、死神。」





「珠紀さん、今のうちに…」
大蛇さんが背後からそっと耳打ちする。
「ええ。アリア、行きましょう。」
私は階段を下りるとアリアの手をそっと握り、促す。

「…しかし。」
「仲間がアリアを信じてくれた。今度はアリアが仲間を信じる番でしょう。」

「そうだな。」
アリアは力強く頷いた。



2006.08.15