◆六章二日目(番外編5)遼編◆

まずはじめに言っておくけど、キス以上のことは禁止だからね!
ああ…今日のところは我慢しておく。
それからディープキスも禁止だから!
でもおまえの方から求めてきたら、その時は…
求めません!!
そう言い切れるか?
言い切ります!
フッ。じゃあ早速試してみるか。
望むところよ!

手を取られると、反射的にギュッと目を瞑る。
まずは瞼に唇を落とされる。
次に頬。

油断したその瞬間、上唇を左端から右端へ、ゆっくり舐められる。
それから下唇を右端から左端へ。

唇から離れると顎に。
左の耳朶に触れたかと思うと柔らかく噛まれ、耳介をねっとりと舐められる。

もう!いい加減にしてよ!!
おまえに禁止されたことはしていないが?
くぅぅ…確かにそうだけど。
じゃあ、続きをするぞ。

おでこに優しく唇が落ちてくる。
安心した次の瞬間に首筋を吸い上げられる。
何かが背筋を駆け上がり、思わず目を開ける。

ちょ、ちょっと!!
まだ終わっていないが?
も、もういいでしょ!
変身してないのに?
そうだけど…
じゃあ続きだな…

唇が再び降りてくる前に狗谷の頭をガシッと抱え、自分から口付ける。
動物の耳が指に触れた時には酸欠でフラフラだった。

女から無理矢理奪われるのも悪くないな…

「狗谷の馬鹿ーッ!!!!」
頬にグーパンチをお見舞すると駆け出した。



2006.08.21