◆二章一日目(6)◆ |
放課後。 校門のところにいる守護者と帰るように指示されていた。 守護者を探す手間は省けるけれど。 どうせ皆で神社に集まるんだから一緒に帰ればいいのに… 朝は皆で一緒に登校するのに。変なの。 出来るだけ早く準備を済ませたが、守護者は既に校門で待っていた。 「大蛇さん、こんにちは。」 「こんにちは。」 「お待たせしちゃって、ごめんなさい。」 「いえ。そんなことありませんよ。でも、ちょっとデートみたいですね。」 行きましょうか、と大蛇さんに促され歩を進める。 デートには見えない気がするな… 若旦那と女子高生。 師匠とその弟子の女子高生。 叔父と姪。 うーん。『家庭教師の先生と女子高生』位で。 私は早速、慎司君の事を報告する。 そして出会いのときの不思議な現象も… 「きっとそれが犬戒君が手に入れた『力』なんですね。」 「『力』?」 不思議そうに見上げた私に大蛇さんは語る。 「私達守護者には特別な『力』があるんです。」 「大蛇さんにもあるんですよね?」 「ええ。私は水と大地を操る能力を持っています。 鬼崎君にも、鴉取君にも、狐邑君にもそれぞれ別の『力』があります。」 私は黙って頷く。 「でも犬戒君にはその『力』が発現しなかったのです。 それで村の外に修行に出されていたんです。」 「守護者の方も修行をするものなんですか?」 「いいえ。犬戒君のようなケースはとても珍しいようです。 勿論あなたのような玉依姫も珍しいケースだと思いますよ。」 「守護者の力が修行で発現するなら、玉依姫も…」 勢い込んだ私に大蛇さんは微笑む。 「そういうこともあるかもしれませんね。ですが犬戒君は8年修行しています。」 「8年…」 せっかく希望を見付けたと思ったのに…!唇を噛み締める。 「あなたは超裏技的な方法を見つけないといけませんね。」 「超…裏技ですか?」 大蛇さんが『超』などと言うとは思わなかったので驚いて大蛇さんを見つめる。 「ええ。超裏技です。大丈夫ですよ、私達も協力します。」 大蛇さんが私を元気付ける為に言ってくれていることはわかっていた。 本当は『超裏技』などないのかもしれない。 でもここで諦めていても何もはじまらない。 「超裏技、見つけましょう!」 |
2006.07.29 |