◆二章三日目(2)◆

「昨日のことなんですけど。」
私が切り出すと、皆は箸を止める。

「あの、ドライという人は宝具を狙っていたんですよね?」
「ああ。」
拓磨が短く言う。

「…ということは、鬼斬丸を狙っている人達がいるんですね。」
「そういうことだろうな。」
祐一先輩が頷く。

「あの人…かなり力がありましたよね。」
「おまえなぁ!俺様にかかればあんなジジイ一発だぜ!」
「そうですよ。僕達だって…」
私は頷くが、あの老人はかなり禍々しい力を内包しているように思えた。

「どうやらモナドっていう人もいるんですね。」
「そいつがリーダーなんだろうな。」

「また襲ってきますよね…」

「おまえ!なんだよ、さっきっから!
 俺達が守るって言ってるだろ!信じろ!!」
「…はい。」
皆もきっと不安なのだ。
リーダー気取りの私がこんなでは駄目。
うん、きっと大丈夫。

続いて私は昨日、自分の体に起こったことを話した。
何かに体を乗っ取られるような、自分の意識が後ろに下がるような…あの感じ。
「皆こんな風になるものなんですか?」
皆は顔を見合わせると、首を振った。

それっきり私は昨日の話はやめた。

「珠紀、今日は俺が送るからな!」
待ってろよ!と真弘先輩は大きく手を振ると屋上を後にした。



2006.08.02