◆三章二日目(1)◆

今日は大事をとって学校を休む。
守護者の皆には昨夜のうちにそう伝えてある。

私は台所でのんびり朝食兼昼食を食べながら、既に後片付けをはじめている美鶴ちゃんに声をかける。

「美鶴ちゃん?」
「なんですか、珠紀様。」
美鶴ちゃんはこちらを見ようともせず答える。

「聞いてもいい?」
「ええ、私に答えられることでしたら…」
相変わらず、こちらを振り返らずに答える。

「美鶴ちゃんって慎司君のことどう思ってるのかなぁって。」

美鶴ちゃんはこちらへ向き直ると
「私は、犬戒さんが守護者となることには反対です。」
きっぱりと言い切る。

「どうして?」
「犬戒さんはまだ半人前です。それなのに…」
唇を噛み締める。

「美鶴ちゃんは知らないかもしれないけど…慎司君は頼りになる人だよ。」

「そんなこと!そんなことあなたに言われたくない!」
そう言い残すと美鶴ちゃんは台所を飛び出していってしまった。



2006.08.04