◆三章三日目(3)◆

私達が神社につくと、大蛇さんを含め皆は既に到着していた。
場所を居間に移動して作戦会議を行う。

パワーにはパワーをということでアイン・ツヴァイには拓磨・真弘先輩。
フィーアを大蛇さんが抑え、ドライを孤立させようという大まかな戦術を確認する。

「皆、命は大切に!」
私は特に暴走しちゃいそうな二人を睨んでそう告げた。

「おまえ、それだけかよ。」
呆れたように真弘先輩が言う。

「私からはそれだけ。皆で無事に帰って、皆で一緒に夕食を食べる!
 これが一番の目標。
 もしできたら宝具を守る。」

私は自分の中の『玉依の血』に聞こえるように語り掛ける。
『玉依の血』は相変わらず私に目眩を起こしていたが、自分の意識は保てていた。
大丈夫。きっと私達は帰ってこられる。





「飽くまで逆らうというのだな?」
アリアが問う。

「鬼斬丸は渡せません。」
私は頷く。

それが戦闘開始の合図。

予め決めておいた戦術に従いそれぞれの敵と対峙する。

私の玉依の血が目覚めつつあるのか、戦況は前回よりもかなり善戦しているといってよい。
だが、それでもロゴスの優位は変わりない。

皆はボロボロになりながらも必死に戦っている。
私も霊符を使いまくった所為か限界が近づき、『玉依の血』が意識を専有しようとしている。

「駄目…もうちょっと待って。」
せめて皆が無事退却できるまで。

「助けて欲しいか?」
どこからか声がする。

「みんなを…」
朦朧とする意識の中、声のする方を探す。

「おまえらが何をしようと俺には関係ない。だがこの女には手をだすな。」
声のする先から赤い光が見える。

「…やめろ。」

アリアの声で全てのものの動きが止まる。
「…帰るぞ。」
アリアはそう言うと、二つ目の宝具を奪い闇に消えていった。

私の意識があったのはそこまでだった。



2006.08.06