◆幕間六◆ |
漆黒の世界 そのカミは人に忌み嫌われ畏れられ追われ続け、この地に逃げてきた 彼は人を恨み畏れた 悲しみと不信と疑いに沈み力つきかけた彼を人々から隠し守ったのは 玉依姫と呼ばれる半神の巫女だった 彼はそれ以来、ずっとこの地に留まり、玉依姫を見守り続けた 『おまえは我を助けてくれた 鬼がどれだけ暴れようと構わぬ 人の世などどうなっても構わぬ だが…玉依姫、おまえが失われることだけは、それだけは、耐えられない」 玉依姫は何かを言いかけ、しかし口を閉じる 何かを悲しむように、寂しく呟く 『刀を使えば、その封印は危うくなる おまえたちは永劫に、この地で私と刀を守る役目を負うことになるがそれでもよいか』 三つのカミたちは玉依姫と契りを交わし、封印によって守られし神の力を与えられた 一転して真紅の世界 男は一人の女に近づいた その女の名は、玉依姫 世界を終わらせる力を管理するカミ 男は玉依姫に近づいた まもなく二人は親しくなり、契りを交わした そして、男は玉依姫に言う 『玉依姫、私に剣を貸してくれ』 玉依姫は男を愛していた それが男の幸せになるならと玉依姫は剣を貸す 男はその力で多くのカミを殺していく 世界は暗闇と絶望に包まれる 玉依姫は殺戮をやめるよう嘆願し、男はその訴えに耳を傾ける しかし力は男自身をも蝕んでおり、もはや抑えることはできなかった 玉依姫は、それを見ていることしかできなかった 様々なカミに助けを頼み しかしカミたちはそれに耳を貸さなかった 剣を管理する力があるのは、自分だけ 更に暗転 一人残ったヤタガラスは玉依姫に言う 死んでいった二人のカミは、その魂を封印に奉げ守護者としてあなたに仕え続けるだろう しかし私は生き残ってしまった 契約通り、封印を守る役目は引き受ける 玉依姫、再度施された封印はもろく弱い 私に封印の力の一部をくれないか いずれ時がきて、その時あなたが、封印の力を振るうことができなかったら この命とそこに根ざし成長した封印の力を持って、その弱まった封印の一部となろう |
2006.08.07 |