◆四章一日目(1)◆

私は目が覚めると泣いていた。
おーちゃんが涙を舐めてくれるが、何故か悲しくて涙が止まらない。

暫く涙が止まるまで、布団の中でじっとしていた。
ようやく起き上がり携帯をチェックしてみると、あれから半日しか経っていなかった。

涙と汗を洗い流す為入浴していると、風呂場の外から声が掛かった。
「珠紀様?起きられたんですか?」
「美鶴ちゃん?」

「はい。ご無事で何よりです。」
「心配かけちゃってごめんね。あの…皆は?」

「昨夜、珠紀様を連れて来られた際に私の言霊で皆様回復されています。
 まだ万全という訳にはいきませんが…
 今朝も登校前にこちらに寄って参りました。」
「よかった、皆無事なのね。…って美鶴ちゃんも言霊が使えるの?」

「ええ。言蔵の家の者には言霊の力が備わっています。」
では私は皆様に珠紀様が回復されたことを連絡して参りますね、と言うと
美鶴ちゃんの影が扉の前から消えた。



2006.08.07