◆四章二日目(1)◆

朝。
早朝…を通り越して深夜といった方が良い時間帯。

美鶴ちゃんと顔を会わせたくないということもあり、
こんな時刻から朝食&お弁当作りをはじめている。

「ふぅ、完成。ちょっと寝ようかな…」
先程まで台所内を走り回っていたおーちゃんも、今は足元で丸くなっている。
おーちゃんを起こさないようにそっと抱き上げて、自室へと向かった。





「よぉ!ねぼすけ!」
真弘先輩が明るく言う。

「ふ〜ん。今日は私、ケーキまで作ったのに。
 真弘先輩はいらないんですね。」
「なッ、なッ。ケーキだとぅ!」

よかった。皆いつもと同じ。
慎司も何もなかったように笑っている。

私はさりげなく典薬寮との提携が決まったことを報告した。





「あぁ、珠紀ちゃん!ヨカッタ〜ッ!!」
教室に入るといきなり清乃ちゃんに抱きつかれた。

「ど、どうしたの?」
ギュウギュウしがみついてくる清乃ちゃんを引き剥がす。

「あのオヤジ何にも教えて…ううん。いいの。珠紀ちゃんが無事ならば。」
目を潤ませて見上げてくる。

「無事って?」
オヤジっていうのは芦屋さんの事だろうと推測し、尋ねる。

「あのね。最近カミカクシが多発してるって噂なの。
 珠紀ちゃん可愛いから、おねえさん心配しちゃったよ〜」



2006.08.08(初) 2006.08.10(改)