◆四章二日目(4)◆

大蛇さんが部屋を出て行ってから冷静になって考える。

『カミカクシ』
ババ様がそう言った

…と言うことは鬼斬丸の贄になったということだろう。
新しいお茶を煎れてきた大蛇さんにその事を語る。

「そう…ですか。
 そうではないかと…どこかで疑ってはいたのですが…」
大蛇さんには先程までの怪しい雰囲気は消え、目には力がなく、言葉を搾り出すように話す。

私は続いて清乃ちゃんから聞いた、最近の『カミカクシ』の噂と
この『カミカクシ』は鬼斬丸の封印の崩壊からくるものではないかという意見を述べた。

「私も同意見です。」
大蛇さんの目に力が戻ってきた。

「ここまで封印が崩壊してしまったら、村人どころでは済まない筈です。
 ババ様は最悪の場合あなたを贄に…と考えているのではないでしょうか。」
私は頷く。

「でもロゴスとの戦闘でも私の命を守る事をしていません…
 おばあ様にはまだ他に隠し玉があるのかもしれません。」
「あなたはそこまで…」と大蛇さんは絶句する。





その時、私を目眩が襲った。
「封印が?」
大蛇さんが短く問う。

「大丈夫です。今回は手を打ってあります…」
私は大蛇さんと、私の内なる『玉依の血』にそう告げた。



2006.08.08