◆六章一日目(1)◆

守護者5人、狗谷、美鶴ちゃん、アリア、フィーア、私…それから、おばあ様。
しめて11人分。

当番制などと言っていられず…美鶴ちゃん、慎司君、フィーアと共に朝食の準備を行う。

「ふーッ。これだけ作っても一瞬で無くなってしまうんだもの…」
「でも。皆さん喜んで下さるんですから。」
「そうですよ。ね、お兄さん♪」
「ふふふ…フェンフにこんな可愛らしい妹さんがいらしたとは、ね。」
「まぁ…可愛いだなんて…」
美鶴ちゃんは頬を染める。
フィーアはそんな美鶴ちゃんと慎司君を優しく見つめる。

昨日までは信じられない光景だよなぁ…
ひたすら出汁巻き玉子を作りながら、そんなことを考えていた。





「ふーッ。食った、食った。」
「まぁ、昨日の朝食は酷かったッスからね。」
「自業自得です!」

「しっかし、フィオナ先生が敵だったとはなー!」
「ふふふ…ごめんなさいね、鴉取君。」
フィーアはここに付いてからフィオナ先生の姿に変わっている。
そんなフィオナ先生に艶やかに微笑まれたら…

「いえ、いえ!朝からこんな美しい…ご馳走様です!」
真弘先輩!鼻の下伸び切ってますから!!
「本当に素晴らしい眺めですね。」
「…大蛇さんまで…」
「ふふ、犬戒君。そうは言ってもこれ程の眺めは滅多にお目にかかれるものではありませんよ。
 美女に美少女…両手に花どころではありませんからね。」

「…じゃあ。大蛇さんはフィオナ先生狙いで良いんスね?」
「ああ。その方が年齢的にも合っているな。」
「鬼崎君も、狐邑君も、何を言ってるんですか?」
大蛇さんはニッコリ笑いながらも、おでこに怒りの印が浮かんでいるのは気のせいでしょうか?

「まぁ、年寄りは年寄り同志。それがお似合いだろ。」
「あなた…あまり学校に来ていなかったけど…確か狗谷君よね?
 昨年も進級出来なかったそうだけど、3回目の2年生をやる気なのかしら?」
フィオナ先生はこめかみに青筋を立てて仁王立ちしている。

…どうして静かな朝を迎えることは出来ないのかなぁ…
はぁ。



2006.08.16