◆六章一日目(2)◆

「これからのことですが…」
食事の後片付けも終り再度居間に集合すると、大蛇さんが切り出す。

「ドライの襲撃パターンを考えますと全て夕方以降になっています。
 つまり夕方までは私達も自由ということになります。」
如何でしょう?と、アリア、フィーアを見遣る。

「そうね。魔術師の活動時間はその通りよ。
 日中は魔力が半減してしまうので仕掛けてこないと思うわ。」
フィーアの声に皆安堵の胸を撫で下ろす。

「それでも油断しないでね。特に春日さんは。」
フィーアはすっかりフィオナ先生の口調に戻っている。
「はい。」
私は笑いを堪えながらも素直に頷く。

「だけどよぅ、アインとツヴァイは?」
「ああ。アインはこちらの味方になったかもしれないが、少なくともツヴァイは…」
真弘先輩の問いに祐一先輩が続く。

「ドライがもう一度アインとツヴァイを操ったら…ですか。」
「あいつらが襲ってこないっていう保証はないんだろ。」
大蛇さんに拓磨も…

「…アインとツヴァイはもういない。」アリアが静かに言う。

「…そう…なの?」
「ああ。あいつらの気配を感じない。」アリアは淡々と語る。

「すると現在の敵はドライのみですか?」
「ああ。」

「ドライの弱点は何かないのかな?」
ふと思いついて尋ねる。
「日中は魔力が半減すること位しか…実は私達もドライのことは殆ど知らないの。」
フィーアは今回の作戦で同行するまではドライの存在を知らなかったと言った。

うーん。打つ手なし?

「こうしていても良い案が出る訳ではなし。一度解散しましょう。」



2006.08.16