◆六章一日目(3)◆

「アリア、入ってもいい?」
アリアとフィーアに割り当てられた部屋の前。

「おまえの家なのだ。自由に入るが良い。」
「アリア様ったら!」
アリアのそっけない物言いにフィーアが透かさず窘める。

「お邪魔します。」そう言いながら襖を開ける。
「何の用だ。」
「アリア様!」
「いいの、フィーア。アリアに聞きたいことがあって。」
和室に金髪の美少女と美女。座布団の上で脚を伸ばしている様は中々面白い。

「何故アリア達は鬼斬丸を狙っているのかな?」
「オニキリマル?」
「アーティファクトの事ですわ。」
「ああ。黒書にそう記載されているからだ。」

アリアからロゴス、黒書、予言、セフィロト、アーティファクト、モナドについて語られる。

…何だかよく解らないけれど…

要約するとロゴスの聖書とも言うべき【黒書】によると封印されているアーティファクト(鬼斬丸)を
聖女が解放すると神の国に近づく…らしい。
どうも胡散臭いがその【黒書】という物に従ってロゴスは動いているそうだ。

「ドライの目的は違うということなのかな?」
「…恐らくは。もしかしたら私達にわからない【黒書】のアーティファクトに関する部分をドライが読み解いているのかもしれないわね。」
フィーアは考えながら、そう答える。

「じゃあ、アリアの目的は?ロゴスに命じられたからというだけ?」
「…私にもアーティファクトを必要とする理由がある…」
アリアが呟く。

「アーティファクトがなければ、両親を取り戻すことはできぬ…」
「アリアのご両親って…?」
アリアとフィーアを交互に見ると、フィーアは小さく横に首を振った。

「…恐らく死んでいる。
 だがアーティファクトさえあれば死者を蘇らせる事ができると聞いた。」
アリアは淡々と語る。

「一目会いたい…会って感謝の言葉を口に出来れば…それで良い…」
アリアは目に涙を浮かべ、唇を噛み締めている。





フィーアに目で合図され、私は部屋を出る。
…もし、ドライに勝ったとしたら次はアリアと戦わなければならない。
アリアにも理由があるのだから…

でも。その時、私はアリアと戦えるんだろうか?



2006.08.16