◆幕間十一 Girl’s Side◆

「ささッ。清乃ちゃん諦めて!」
「そうよ。多家良さん、往生際が悪いわよ。」

「そ、そんなぁぁぁぁ!!」

「ふ…私と然程変わらぬな。」
「本当ですね。私も自信が出てきました。」

「うわーん!!こんなちびッコにまでー!皆酷いよーッ!」 脱衣所に絶叫を残して清乃ちゃんは湯船に飛び込む。

「んもぅ!お行儀が悪いぞ、清乃ちゃん。」私は頬を膨らませ怒った振りをする。
「本当ですよ、多家良さん。アリア様の教育上にも良くありません。」
「そんなこと言ったって!そんなスタイルの人達と比較されたくないです!!」 清乃ちゃんは湯船の中でプリプリ怒っている。

「でも…珠紀様は意外でした。」
「え?どういうこと?」
「珠紀様、脚が細いのでもっとスリムかと…」
「えー?私、太ったかな?」
「あ、いえ!そういう訳では…」
「うん、うん。わかるよ。フィオナ先生は問題外だけど珠紀ちゃんにまで裏切られるとは思わなかったよ。」
湯船の中から眼鏡を曇らせて清乃ちゃんが言う。

「美鶴ちゃんだって肌が白くて綺麗じゃない。」
「きゃッ!珠紀様、な、何を!」
「背中流してあげるッ。」
「そ、そんな!申し訳ないです!」
「じゃあ、後で私も流して?」
「…はい…」

「フィーア、これでよいか?」
「アリア様、耳の後ろに洗い残しがありますよ。」
「う…う、む。これでよいか?」
「はい。良く出来ました。では湯船に入りましょうか。」

「…清乃ちゃん、もういい加減湯船でたら?のぼせちゃうでしょ。」 美鶴ちゃんに背中を流してもらいながら清乃ちゃんに声を掛ける。
「嫌!」
「フ…蛸みたいだな。」
「何おぅ!ちびッコ!」清乃ちゃんはアリアに向けて湯を掛ける。
「こら、多家良さん!」フィーアはアリアを庇い、清乃ちゃんに反撃する。
「でも…アリアは若いね。水弾きが違うね。」
私の呟きに何故か清乃ちゃんがピクリと反応し、湯を掛けていた手が止まる
「どうしたの、清乃ちゃん?」
フィーアの反撃をまともに被った清乃ちゃんは湯を滴らせている。
「うわぁぁぁぁん!どうせ私は若くないですよぅッ!」
「どうしたの、多家良さん。落ち着いて。」
「…清乃ちゃん…本当はいくつなの?」
「…ゴニョゴニョ…」
「聞こえました、皆さん?」
私の問いに皆、首を横に振る。
「…23…」消え入りそうな声で清乃ちゃんが言う。
「えッ!?」「エッ?」「!?」「えーッ!?」
「うわぁぁぁぁん!だから嫌だったのに!芦屋さんが幼児体型だから女子高生でも大丈夫だって…」
「まぁ、私と一つしか違わないのね。」このフィーアの一言がきっかけになったようで…
「皆、酷いよーッ!!」という絶叫を残して脱衣場に走っていった。

「あの者は入浴のマナーがなってないな。」脱衣場を見詰め、アリアが呟いた。



2006.08.17