◆六章二日目(4)◆

「先輩、可愛い…」
フカフカの耳やモフモフの尻尾は、先輩のサラサラした髪の毛よりも更に細い。

特にこのモフモフの尻尾ったら!!
スリスリ頬擦りしていたら…
「珠紀、それはちょっと…」
赤面した先輩にやんわり拒否された。

「えー!もうちょっとだけ、駄目ですか?」
「駄目だ。」キッパリお断りされた。

「先輩のケチ。」
「これ以上進む覚悟が出来るなら、触っていてもいいぞ。」

「えッ?えーッ?」
「そう言うことだ。」
…今度は私が赤面する番だった。





「じゃーん!祐一先輩が目出度く『真の守護者』となりました!」
居間の襖を勢い良く開ける。

「なーんだ祐一、その可愛い姿は!!」 真弘先輩は祐一先輩を指を刺すと大笑いしはじめる。
「おまえ、覚醒したのか?」 拓磨に問われて気付く。
「なんだ、その『覚醒』と言うのは?」

狗谷にも簡単に説明すると
「ふん、面白そうだな。」

騒ぎを聞きつけたのか慎司君と大蛇さんも居間へとやって来る。
「アリアと清乃ちゃんは?」
「二人とも言蔵さんに任せてきました。」大蛇さんが微笑む。
「おめでとうございます、先輩。美鶴ちゃんがお赤飯を炊くって言ってましたよ。」

「ヒーッ、ヒッ、ヒッ…」
「真弘先輩…いい加減にしたらどうッスか。」
「拓磨、これが笑わずにいられるかよ!クッ、クッ、クッ…」
「先輩。祐一先輩がああなったってことは、珠紀と…」
「!」

突然。真弘先輩の笑いが止まる。

「拓磨ーッ!どういうことだ!」
「知りませんよ、俺に聞いたって。」
「珠紀ーッ!!」
「先輩も順番にしてあげますって。」
「なーんだよ!!その順番ってのは!俺様のファーストキスだぞ!!」
「…私のファーストキスは皆の見ている前でしたけど?」
「うるせーッ!俺はおまえとちがって繊細なんだよ!!」



2006.08.18