◆七章一日目(3)◆

パチパチパチ…
階段上から乾いた拍手がホールに広がる。

「所詮人形か…まぁ良い。折角訪れてくれた客だ。次は私がお相手するとしようか。」

「どうやら神社には誰も来ていないようです。」大蛇さんが耳元で囁く。
美鶴ちゃんとおばあ様を宝具の守り手として残してきたが、
念の為、何者かが侵入したときのセンサー代わりに結界を神社に巡らせてきている。
「…ということは、こちらに?」
「ああ。近くに来ている。」狗谷の鼻センサーも同じ結果のようだ。

「何をゴチャゴチャと話しておる。来ないのならばこちらから行くとするか…」
「おぅ!さっさと来やがれ爺!!」
「おのれ、ケダモノの分際で!」
「…相変わらず気の短い爺だな。」
「では皆さん、予定通りに。」
「了解!」

カツリ…
ドライが床をステッキで叩き、戦闘が始まる。
拓磨、真弘先輩が前衛で直接攻撃を加え、
祐一先輩、大蛇さんが後衛で二人を援護する。
狗谷、慎司君はそれぞれ清乃ちゃん、アリアの護衛。

多数の守護者の相手が面倒になったドライは私に攻撃を加える筈。

そして予想通り、ドライの使い魔【ベルゼブブ】の触手が私に届く寸前
「行け、蟲毒。」
触手は私に届かずに床に散った。





「芦屋さん!」
清乃ちゃんの叫び声が聞こえる。

「…なんだと…」
ドライの呟きと共に【ベルゼブブ】が消滅する。

「ドライ、そういう事だよ。」
芦屋さんは玄関からゆっくりと入ってくると、ニヤリと笑う。

「どういうことですか?」
芦屋さんと距離を取りつつ、尋ねる。

「やっと見つけたのさ。ドライを無効化する方法を。
 ロゴスの幹部、四賢人には面白い約束事があってね。
 三賢人の意見が一致した場合にのみ、残りの賢人を強制送還させる命令を起こすことが出来るんだよ。
 そうだろ。四賢人が一人、マグス・メルキセデク?」

「おのれぇぇぇぇぇ」
絶叫を残し、ドライの体は消えていった。



2006.08.23