◆七章二日目(2)◆

「だーかーらー!もう1回キスしよーぜッ!」
「何度も言っていますが、何故『だから』になるんですか…」

朝食が済んで。
美鶴ちゃんや清乃ちゃんに後片付けを任せて居間に残っていたら、こんなことになってしまった。
アリアもフィーアと共に割り当てられた自室に戻ってしまっているし…

「じゃあ、ドライ撃退記念?」
「ドライを撃退したのは真弘先輩じゃないじゃないですか。」

「いいじゃねぇかよ!減るもんじゃねぇし!」
「減りますね。えぇ、確実に私の中の何かが減ります!」

「ケチ! 珠紀のケチ!!」
「大体、敵がいなくなったとはいえ、まだ肝心の鬼斬丸が残っているんですよ。
 生きるか死ぬかっていう大事な時にキスがどうのこうの言ってる場合じゃないでしょう!」

「俺、このまま死んだら生きている内に1回しかキスしてないで死ぬんだぜ…」
「だから! 死なないように頑張ってるんでしょ? 終わったら何度もすればいいじゃないですか。」

「じゃあ、全部終わったら何度もしていいのか!?」
「ええ。私じゃない人と何度でもして下さい!」

「真弘…そうじゃないだろう…」
「そうですよ、真弘先輩。」
「鴉取君、珠紀さんにもわかるように説明しなければ。」

「何か理由があるんですか?」
「う…」
「もう一度キスをすると更にパワーアップするらしい…」

「狗谷! てめッ!」
「何だ?自分で言いたかったのか?」
「本当なんですか?」

「ああ…」
「パワーアップしたらどうなるんですか?」

「…わかんねぇ。」
「えー。じゃあ、やだ。」

「なんでだよ!」
「だって!拓磨とか真弘先輩とか大蛇さんは更に変身したら怖いじゃないですか!」

「フンッ。じゃあ俺はいいんだな?」
「ああ…俺もだ。」
「僕もお願いします!」

「きったねー!裏切り者!!」



2006.08.23