◆八章一日目(2)◆

「本当にいいのかよ?」
「昨日まであんなにしたい、したいって言ってたくせに…」

「そりゃ…したいさ。」
「じゃあ何の問題もないじゃないですか。」

「おまえが昨日まではあんなにしたがってなかっただろ。」
「鴉取はしたくないなら、やめておけばいいじゃないか。」
「狗谷! 俺は…なんだ…こいつの弱味につけこむようなのが嫌なんだよ…」

「真弘、珠紀はそんなことをしてでも美鶴を助けたいんだ。」
「チッ…そんなこと…俺だって…」
「鴉取君、それが珠紀さんの覚悟なんですよ。」





「祐一先輩、力を貸してください。」
ポンポン…優しく頭を叩かれる。

「拓磨、宜しくお願いします。」
「ん。」

「慎司君、頑張って美鶴ちゃんを取り戻そうね。」
「はい。宜しくお願いします。」

「狗谷、約束は守るよ。」
「ああ。期待してる。」

「大蛇さん、もう犠牲は出しません。」
「はい。大丈夫ですよ、あなたなら。」

「真弘先輩、これで終りにしましょう。」
「俺様に任せておけ!」





「良かった…変な紋章が浮かぶだけで…
 拓磨の肌が赤くなったり、真弘先輩に嘴がはえたり、大蛇さんに鱗がはえたりしなくて…プププ…」
「おまえ…そんなこと心配していたのか…」

「だって重要な問題じゃないですか!
 これってキスする度に変身がヴァージョンアップ…っていうか変わっていくものなんですか?」
「じゃあ…試してみるか?」

「…やめておきます…」



2006.08.24