◆八章一日目(4)◆

美鶴ちゃんが祭壇に近づいてくる。
目は虚ろだが、シッカリした足取りで。

祭壇に横たわる。
宝具を結界の周囲に配置し、おばあ様は何かを呟く。
結界が白く輝き、美鶴ちゃんを包む。

同時に沼がブクブクと泡立ち
そして浮かび上がる、細い刀身。

皆、一斉に飛び出すと美鶴ちゃん、鬼斬丸に向かい二手に別れる。

「止まりなさい。」
静かなおばあ様の声が響くと…守護者の五人、拓磨、真弘先輩、祐一先輩、慎司君、大蛇さんの動きが止まる。

「ど…して?」
「守護者は玉依姫に逆らえない…か。」大蛇さんが苦しそうに呟く。

「そんな! 皆、力を貸してよ!」
「だ…駄目だ。脚が動かない!」
「仕方ないな、俺達だけでやるしかないな。」
今動けるのは、私の他に狗谷、アリア、フィーア、清乃ちゃん。

「アリアとフィーアはおばあ様をお願い! 美鶴ちゃんを取り返すまで時間を稼いで!」
「ええ。」
「わかった。」

「狗谷と清乃ちゃんは美鶴ちゃんを!」
私はそう叫びながら結界の中に無理矢理入っていく。

バリバリッ

激痛で意識が飛びそうになる自分を励まし、美鶴ちゃんを祭壇から下ろす。
狗谷と清乃ちゃんは結界に阻まれてしまったようで、なんとか結界の外まで自力で美鶴ちゃんを引き摺る。

狗谷が美鶴ちゃんを抱いて遠ざかると一息ついていると。
「珠紀ちゃん!」
清乃ちゃんの叫び声に我にかえる。

祭壇に鬼斬丸が迫っている!

「シビル!」
「春日さん!」
アリアとフィーアの叫び声が重なる。



2006.08.25