◆終章(3)◆

「で。皆はこれからどうするんですか?特に三年生。」
宴もたけなわ。守護五家の皆もこれからは自由に村を出られる。私は気になっていた皆の将来について尋ねる。

「俺は卒業したら東京に行く。」
「な!ずるいぞ祐一!」

「大蛇さんが東京に買ったマンションに世話になるつもりだ。」
「え?大蛇さん、何時の間に?」
「これでも蓄えはありますので…珠紀さんのおじい様の家からも近いと思いますよ。」

「書道の先生はどうなるのです?」
「先生…というほどのものではないですが。こちらと東京を行き来することになります。」
うん。それならば清乃ちゃんとフィーアにも可能性はあるのね。

「祐一先輩は東京に出て何するんですか?」
「大学に行くつもりだ。流石に今からでは準備不足なので一年浪人して予備校に通う。」
「ず、ずりーッ!!」

「それで珠紀と同じ大学に行くつもりだ。」
「くはーッ!珠紀『女子大』に行け!」
「…真弘先輩も大学を目指せばいいじゃないですか…」
「う、うるせーッ」

「そうだ、真弘。俺と珠紀が同級生でもいいのか?」
「いいわけねーだろ!?でも勉強するのが…ブツブツ…」

「珠紀、俺もこっちで大学を目指して勉強する。」
「拓磨?」
「だから…志望校が決まったら教えろ。」
「拓磨! おまえもかッ! 裏切り者!!」

「いいけど…私レベル落とすつもりないよ?」
「う…ああ。こちらにいる間は大蛇さんに勉強を見てもらうつもりだ…」

「狗谷はどうするの?」
「狗谷さんは、フィオナ先生が出発前に『三回目の二年生ね』って…」とは慎司君。
「でもそうしたら来年は三人で二年生ですね!」美鶴ちゃんは嬉しそうに続ける。
「…ク…」

「私、勉強教えてあげますから!」
「僕も朝迎えに行きますよ!」
慎司君、美鶴ちゃんの兄妹がはしゃぐ。

「修学旅行も一緒に行きましょうね!」
…狗谷もこの二人がついていれば卒業できるかもしれない。

「で?真弘先輩は?」
「まだ決まってねぇ。今迄、ずっとこの村に縛られるって思ってて。
 急に自由にしていいですよって言われても…まぁ卒業までには考えるさ。」
「そうですね。私達にはまだまだ時間があるもの。」

「また、この村に戻って来られますよね?」美鶴ちゃんが不安そうに尋ねる。
「勿論!」



2006.08.26